ALSとは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。
しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより力が弱くなり、筋肉がやせていきます。
その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓の機能などは保たれることが普通です。
ALSは40歳代以降に多くみられ、60歳代から70歳代がピークとなりますが、若い方での発症もみられることがあります。
女性に比べて男性の方が1.3~1.5倍ほど多い傾向にあります。日本での患者数は約1万人とまれな疾患で、厚生労働省により難病に指定されています。
病状のはじまり方や進行スピードは患者さんごとに大きく異なります。
はじめに出やすい症状としては、物がうまくつかめない、足が前に出ないなど手や足に力が入りにくくなる症状が出る方と、呂律が回りにくくなったり、飲み込みにくいなど舌や口が動きにくくなる症状が出る方もいます。
症状が進行すると、全身の筋力がやせて力を動かしにくくなる、発音がしにくくなる、嚥下障害、呼吸障害 などがみられるようになります。短期間で急速に進行する患者さんもいる一方、数十年にわたってゆっくりと進行する患者さんもいます。
酸化ストレスやグルタミン酸過剰など様々な学説がありますが、まだ十分に解明されていません。ALSのうち約90%は遺伝と関係なくALSを発症しますが、10%でみられる遺伝性のALSについては原因となる遺伝子が複数見つかっており、それぞれのALSについて治療法の研究がすすめられています。
ALSは1つの検査で確定診断できるものではなく、症状は人によって異なります。医師は身体診察、家族歴、さまざまな検査を組み合わせて診断することがあります。症状や家族歴などから遺伝性のALSが疑われる場合は遺伝子検査を行うこともあります。
ALSの原因に対する治療、ALSの進行をを遅らせるための治療、ALSによる症状を改善するための治療やリハビリテーションなどが行われます。
ALSは厚生労働省により難病に指定されているため、医療費の助成が受けられます。
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